【新刊紹介】

本宮ひろ志著『猛き黄金の国 伊能忠敬』

 
 伊能忠敬を描いた小説はあるが、本格的な劇画はほとんど無い。
 本書の著者である本宮ひろ志氏は、千葉県出身の漫画家で、『男一匹ガキ大将』『俺の空』『サラリーマン金太郎』などの作品で、若者に人気の作家である。本書は歴史上の人物をとりあげた「猛き黄金の国」シリーズの三作目になるが、過去の二作が「道三」、「柳生宗矩」と強い武将を対象にしていたのとは一転している。
 この作品は上・下2冊で完結しているが、伊能忠敬の測量については最後の数章のみで、測量や地図作りではなく、これまではあまり採り上げられていなかった隠居前の伊能忠敬に焦点を絞っているのが特徴である。
 余談だが、志の輔落語の「大河への道」で”グッジョブ”と親指を出すシーンがあるが、”グッドジョブ(Good Job)”は本宮のオフィスを描いた作品シリーズのタイトルである。 (菱山記)
本書の構成

 第一話 生きて行く
 第二話 北極星
 第三話 勉学
 第四話 大嵐
 第五話 地図
 第六話 運上金
 第七話 天明の大飢饉

 第八話 名主
 第九話 暦日
 第十話 天文方
 第十一話 北辰
 第十二話 一万里
 第十三話 海沿い
 第十四話 手形
 最終話 完成
  
集英社 2021年10月24日発行
本体630円(税込693円)上・下同額