伊能忠敬を描いた小説はあるが、本格的な劇画はほとんど無い。
本書の著者である本宮ひろ志氏は、千葉県出身の漫画家で、『男一匹ガキ大将』『俺の空』『サラリーマン金太郎』などの作品で、若者に人気の作家である。本書は歴史上の人物をとりあげた「猛き黄金の国」シリーズの三作目になるが、過去の二作が「道三」、「柳生宗矩」と強い武将を対象にしていたのとは一転している。
この作品は上・下2冊で完結しているが、伊能忠敬の測量については最後の数章のみで、測量や地図作りではなく、これまではあまり採り上げられていなかった隠居前の伊能忠敬に焦点を絞っているのが特徴である。
余談だが、志の輔落語の「大河への道」で”グッジョブ”と親指を出すシーンがあるが、”グッドジョブ(Good Job)”は本宮のオフィスを描いた作品シリーズのタイトルである。 (菱山記)
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