【新刊紹介】

平井松午著『伊能忠敬の地図作製』

 
 本書は、同時に刊行された平井松午・島津美子編『<稿本・大名家本>伊能図研究図録』と対を成すものである。『<稿本・大名家本>伊能図研究図録』が図版中心のページ構成であるのに対し、掲載された図版の解説がまとめられている。第1部では伊能忠敬の時代の測量術を振り返り、第2部の「伊能図の検証」では、伊能図の特徴である針穴や記号そのものの分析や、地図の原図となる下図や寄図等、地図製作過程の資料を詳細に分析した報告が新鮮である。いずれも大著であるが、新しい知見も多く、図版と解説書にまとめられているので、伊能図の研究には便利である。  (菱山記)
本書の構成は、以下のようになっている。

  第1部 伊能忠敬と測量術
   1章 「伊能忠敬とその時代」の解明のために
   2章 伊能忠敬と会田安明
   3章 江戸時代後期における測量図の地域的課題
  第2部 伊能図の検証
   4章 伊能図の地図仕立て
   5章 伊能図の作成過程における下図と寄図
   6章 伊能図の針穴
   7章 伊能図の記号凡例
   8章 多種多彩な伊能図のコンパスローズ
  第3部 伊能図の比較分析とシーボルト日本図
   9章 神戸市立博物館蔵「近江国及附近絵図」の特徴
   10章 「沿海地図」から「沿海輿地図」へ
   11章 東京大学所蔵伊能中図の概要と修復事業
   12章 伊能図からシーボルト日本図へ

古今書院 2022年2月28日発行 本体8,800円(税込9,680円)
B5判270頁
※ 伊能忠敬研究会会員は、2022年4月30日まで割引購入できます。
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