本書は、当研究会の名誉会員である立川志の輔の長編創作落語「大河への道」を活字化したものである。
今年5月20日封切られる映画「大河への道」の原作でもある。落語を聞かれた人はご存知のように、伊能忠敬自身が全く登場しない話であるが、忠敬周辺の友人、妻、師匠の目を通して「伊能忠敬」の人物像を描いている。
そもそも、物語の設定場所は現在なのだから忠敬が出てこないのは当然と言えば当然である。
大河ドラマを書けなかった作家の話だが、この噺は志の輔さんの実体験だという。
落語のストーリーが元になっているが、内容は多岐に渡り、読んでいても飽きない。噺家ならではの表現が読む人を話の世界に引き込み、感動的でもあり、一気に読み終えると大河ドラマを見た感じに襲われた。
(菱山記)
本書の構成は、以下のようになっている。
プロローグ
平成の伊能隊
文政三年十月――伊能忠敬友人、綿貫善右衛門の話
文政三年十ニ月――伊能忠敬四番目の妻、エイの話
伊能忠敬は生きている
文政四年ニ月――伊能忠敬の上司、高橋景保の話
最終プレゼン会議まであと十九時間
封筒の中のプロット
最終報告

河出書房新社 2022年3月5日発行 本体990円(税込1, 089円)

